なぜ勉強は「基礎から」が大切か?
なぜ勉強は「基礎から」が大切か?
今まで勉強をキチンとやっていないのに、志望大学の偏差値に合わせて、難しい問題集、参考書を選ぶ人がいます。
気持ちは分かります。
志望大学の問題は難しいのに、簡単な問題なんて解いても意味がないっ、と思っている人も少なくありません。
しかし気持ちだけ焦って、基礎を勉強せずに難しい問題集を解いても、あなたの実力には身に付かないでしょう。
人間の記憶力が完璧でない理由
受験勉強をしているあなたは、コンピュータのように写真を撮ったように正確無比に一発で記憶できたら、試験なんて楽勝なのに、とよく考えるのではないでしょうか。
しかし、人間はコンピュータと違い正確に覚えません。
これには理由があります。
あいまいな記憶の利点があるのです。
例えば、次のような文字を読んで下さい。
あなたは、どの文字も(多分)読むことが出来ると思います。
しかしコンピュータにとって上の文字の認識は難しくなります。
コンピュータは正確無比に覚えてしますため、少し違うだけで分からなくなるのです。(現在、画像認識の技術により文字認識は実用化のレベルにはあります)
その点、人間の脳はあいまいだからこそ文字を認識できます。
あなたは昨日会った友人が今日会った時、髪型を変えていたという理由で、その友人が別人とは思わないでしょう。
しかし、コンピュータは分からなくなります。
人間の記憶があいまいな理由は、応用を利かすために、あいまいなのです。
文字の場合、文字をそのままの形を記憶しているのではなく、「文字らしさ」を記憶しているため、様々な文字に対応できるのです。
あなたの脳は応用の利く共通項、本質を記憶しようとするため、いきなり完全に記憶するのではなく、時間をかけ記憶するのです。
受験生の夢見る完全な記憶、一度見ただけで完璧に写真のように覚える記憶とは、実はそこまで、うらやましいものではないでしょう。
あいまいだからこそ、あなたの記憶は応用が利き、実生活に活用できるのです。
基礎からが大切な理由
あなたの記憶は、覚えるために時間がかかること、記憶があいまいである理由のイメージはつかんでもらえたと思います。
この部分に、何故、基礎の勉強をおろそかにして、難しい問題集から手をつけるのはよくないかの答えがあります。
難しい問題とは、多くのものが基本知識の組み合わせにより成り立っています。数学や物理など特にそうですが、英語なども例外ではありません。
つまり多くの難しい問題は、細かく分解すれば、簡単な基本的知識になります。
あいまいな脳は、応用できる共通項、本質を覚えようと努力するので、難しい問題をいきなりやっても簡単には覚えてくれません。
難しい問題には多くの基礎知識(共通項、本質)が含まれており、一度に多くを理解し記憶する必要があり、習得するのに時間がかかるためです。
また一問解くのに何度も覚えることが出てきては、混乱してしまいます。
逆に基礎的な問題から基礎からプロセスを守って勉強すると、順序良く覚え難しい問題もあまり時間をかけず解けるようになるでしょう。
ねずみの実験
ねずみを使った実験でオペラント条件づけというものがあります。
まず、ねずみをある部屋(箱)に入れます。
部屋には、レバーがあり、音がした時にレバーを押すとエサが出てくる仕掛けがあります。


この実験の条件を少しだけ変えて実験してみます。
音とは関係なく、レバーを押すだけでエサがでてくる仕掛けのみを用意します。
十分にレバーを押すとエサが出てくると学習した上で、次に音とエサとの関係性を十分に記憶させます。
レバーを押すとエサが出てくることを、音とエサとの関係性を学習したねずみは、いきなりこの部屋に入れる場合と比べ、格段に早く、音がした時にレバーを押すとエサが出てくることを学習します。
つまり、いきなり複数のことを覚えるより、一つ一つを分けて確実に学習することが、学習の速度を高めるのです。
人間はねずみと違い複雑な思考を持っており、単純に比べることはできません。
しかし学習においては人間も同様に、プロセスを重視し、確実に一つ一つ勉強していくことが学習の速度を高めるのです。
焦って難しい参考書や問題集に取り組むより、確実に基本を押さえ問題を解いていくことが実力に繋がりますし、早い時間で覚えることができます。
「急がばまわれ」とは使い古された言葉ですが、勉強の効率から考えてみても勉強の本質に迫る意味が含まれています。
(参考文献:進化しすぎた脳 、記憶力を強くする)