条件付き報酬の弊害


多くの人は、おそらく子どもの頃に一度は次のような経験をしたのではないでしょうか。


「宿題をしないと、おやつなしよ」
「勉強で○○点とれば、お小遣いをあげるからね」


といった、目の前の報酬(アメ)や罰(ムチ)によって行動をコントロールされる経験です。



また、今現在指導する立場である親や教師(学校の先生だけでなく家庭教師の方も含め)といった人も、アメとムチによるコントロールを行った人もいるでしょう。

ただ、この方法は本当に有効なのでしょうか。



結論から言うとアメとムチの方法は、多くの場合うまくいきません。

アメとムチによる行動のコントロールが、どういった問題を引き起こすのか、過去の実験を通して紹介します。

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自由遊びの実験



実験対象:幼稚園児を観察し「自由遊び」の時間に絵を描いていた幼稚園児

方法:グループを作り、報酬を与えられた子供にどういった影響があるのかを観察する

グループA:賞をもらえるとわかっているグループ
事前に「よくできました」と書かれた賞状を渡されることを知っている子供たち

グループB:何ももらえないグループ



結果:

実験を続けるうちに、今まで自由に絵を描いていたグループAの子供たちの絵を描く時間が格段に減った。
(今まで自ら進んで絵を描いていたのにもかかわらず)

また絵を描く事への興味もなくなっているようだった。

グループBは変わらず絵を楽しんで描いていた。



この結果を見たみなんさは、どう感じたでしょうか。

アメとムチを実践する大人の立場から見ると、これは考えていたこととは逆の結果になったのかもしれません。

報酬を貰えた子供の方がもっと積極的に絵を描くようになるはずだと思うでしょう。



しかし、「アメとムチ」の実験に関しては、上の実験だけでなく、他の様々な実験が繰り返し行われております。そして、同じような結果、報酬で行動をコントロールしたために、コントロールされた人間の積極性や、創造性を奪う結果となっています。



なぜ、こういったことが起こるのでしょうか。



アメとムチによる行動のコントロールは、前回紹介した「自律性」「マスタリー」「マインドセット」が考慮されていないからです


アメとムチは指導者の立場としては、短期的に子供に「して欲しいこと」をさせことが出来ます。

そして子供も、アメが貰えるなら、指導(親や先生)がして欲しいことをするでしょう。

ただ、その行動はアメ目当てであって、子供自身の欲求から行うものでありません。


子供自身が自発的に行動するわけではなく、報酬のために行うようになるので、ただ行動に移すだけで、もっと上手くなるよう自律的に考えたり、その行動自身を楽しむことはありません。


学習に重要な自律性やマスタリーが、そこには無くなってしまうのです。


自律的に移した行動と比べて、上達したり成長しにくいことは直感的にも感じると思います。

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また本来指導者が時間かけ、その行動の意味、役立つ理由を説明するべきところが、アメが貰えるから行うと、本来の目的が失われてしまいます。

行動をするのには、目的があります。特に勉強などでは、将来こういった人物になる、こういった事ができるようになるといった、本来の目的があるはずなのですが、全て、アメを貰うためにやっているとすり替わってしまいます。

二人の医者がいたとして、金を多く稼げると考え医者になった人間と、出来るだけ多くの人の命を救いたいと考え医者になった人間とでは、大きな差があると思います。



あなたは、どちらの医者に診てもらいたいでしょうか。



アメとムチによる教育方法は、心の持ち方にも大きく影響を与えるのです。

このように、指導者が良かれと思って行っているアメとムチのような教育方法は時代遅れであり、多くの場合、逆効果といえます。

(アメとムチが上手くいく場合もあります。詳しくは「参考文献:モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか」を。ただし、勉強、芸術といった自律性や創造性が問われる場合は、アメとムチが役に立たない場合が多いと言えます)



それでは、親、先生の立場でどのように勉強を教えていくのが良いか、その一例を紹介したいと思います



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